学生時代の私は、「いかにお金を使わずに1日を終えるか」を考えて生活していました。本当にお金がなかったからです。
朝と夜の食事は、もやし、パスタ、お米とポン酢などが中心。栄養は昼の学食で補給する。遊ぶときもできるだけお金を使わず、安い深夜のカラオケに行ったり、安い居酒屋で飲んだり、バイクで銭湯に行ったり、家でゲームをしたりしていました。
今振り返ると、当時の私にとって一番貴重だったのは間違いなく「お金」でした。時間はある。でも、お金がない。だから多少時間がかかったとしても、できるだけお金を使わない方法を選ぶ。それが当時の私にとって合理的なお金の使い方でした。
そんな私が今では、20万円するロボット掃除機を使っています。スマートロックにも10万円以上かけています。

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学生時代の自分が聞いたら、「そんなものに何万円も払うなんて、もったいない」と言うでしょう。それでも今の私にとって、どちらも満足度の高い買い物です。
なぜこれほどお金の使い方が変わったのか。最近考えていて、一つの答えにたどり着きました。
私にとって希少なものが、「お金」から「時間」に変わってきたからです。
社会人になって、今度は「モノ」にお金を使うようになった
もちろん、学生時代からいきなり現在の価値観になったわけではありません。
社会人になり、毎月給料をもらうようになると、学生時代とは比べものにならないくらい自由に使えるお金が増えました。すると、それまで買えなかったものが欲しくなりました。
ブランド物の財布、高いブーツ、少し高価な服。社会人になりたての頃は、そうしたものをよく買っていました。学生時代にお金がなかった反動もあったのかもしれません。「自分で働いて稼いだんだから、欲しいものを買おう」という感覚だったと思います。
飲み会についても同じです。誘われれば基本的に全部参加していました。
お金がなくて使えなかった学生時代から、働けば毎月給料が入ってくる社会人になった。私のお金の使い方は、「できるだけ使わない」から「稼いだお金で欲しいものを買う」へと変わっていきました。
今思えば、この時期があったことも決して悪かったとは思っていません。実際にお金を使ってみなければ、自分にとって何にお金を使うと満足するのかも分からないからです。
ただ、その後投資を始め、資産形成を続けていく中で、もう一度お金に対する考え方が変わっていきました。
資産が増えて「安さ」だけで選ばなくなった
投資を始めて約5年。資産も5,000万円を超えました。
だからといって、何でも好きなだけ買うようになったわけではありません。今でも価格は見ますし、無駄なものにはできるだけお金を使いたくありません。むしろ不用品をメルカリで売ったり、買う前に売却価格まで考えたりするくらいです。
ただ、昔と明らかに違うことがあります。それは、「安いかどうか」だけでは判断しなくなったことです。
そのお金を使うことで自分の時間がどれくらい増えるのか。日々の小さなストレスをどれくらい減らせるのか。そうしたことも含めて値段を見るようになりました。
その代表例が、わが家のロボット掃除機です。
20万円のロボット掃除機を「高い」と思わなくなった理由
わが家で使っているロボット掃除機は約20万円しました。決して安くありません。普通の掃除機ならもっと安く買えますし、自分で掃除すれば20万円も必要ありません。
それでも私は、この買い物にかなり満足しています。まず単純にデザインが気に入っています。そして何より、掃除とモップがけを同時にやってくれる。自分が別のことをしている間に、床掃除を進めてくれます。
例えば、掃除とモップがけに毎週1時間使うとすれば、1年間で約52時間、5年間なら260時間になります。20万円を260時間で割れば、1時間あたり約770円です。
もちろん、ロボット掃除機を買えば掃除にかかる時間が完全にゼロになるわけではありません。メンテナンスも必要です。
それでも、私にとっては「20万円の高い掃除機を買った」というより、「これから何年間も掃除に使うはずだった時間の一部を20万円で買った」という感覚に近いです。
スマートロックに10万円以上かけた理由
もう一つ、わが家で導入してよかったと思っているのがスマートロックです。
本体だけでも約10万円。さらに鍵が1つ約8,000円、設定にも1回1万円ほどかかります。物理的な鍵を使うだけなら、圧倒的にそちらの方が安いでしょう。
それでも導入してよかったと思うのは、毎日の小さな面倒から解放されたからです。
鍵を探す。取り出す。開ける。閉める。しまう。「あれ、鍵をかけたかな?」と気になる。一つ一つを見れば、ほんの数秒、数十秒の話です。
そのため、節約できた時間だけを金額換算すれば、スマートロックの元を取るのは難しいかもしれません。しかし私が価値を感じているのは、時間だけではありません。
毎日繰り返していた小さなストレスそのものがなくなったことです。
この「小さな面倒をなくす」という考え方は、家のいろいろなところに取り入れています。
「数秒、数分の面倒」を生活から一つずつ減らす
わが家では食洗機やドラム式洗濯機も使っています。さらに細かいところでは、タッチレスで開くセンサー式のゴミ箱や、タッチレスで水を出したり止めたりできる蛇口も導入しました。
一つ一つを取り上げれば、「それくらい自分でやればいいじゃないか」と思うものばかりです。私も一つだけなら、そう考えるかもしれません。
でも、毎日の生活には「数秒、数分の小さな面倒」が大量にあります。
仮に毎日5分の作業を減らせたとすれば、1年間で約30時間、10年間なら約300時間になります。さらに掃除、洗濯、食器洗い、鍵など、複数の作業を少しずつ減らしていけば、その差はさらに大きくなります。
だから私は最近、「やらなくていいこと」を生活から一つずつ減らすためにお金を使うことにも、大きな価値があると思うようになりました。
資産形成では、小さなお金を積み上げる。一方、暮らしでは、小さな時間を取り戻していく。
一回だけを見れば小さな違いでも、それを何年も積み重ねれば大きな差になる。この点は、どこか投資にも似ているように感じます。
浮いた時間で何をするのか
ただし、ここで重要なのは「時間を節約して何をするのか」だと思っています。
掃除を自動化して浮いた30分でさらに仕事をする。食洗機で浮いた時間で副業する。もちろん、それも一つの使い方です。
でも私は、必ずしも生産性を上げるためだけに時間を買っているわけではありません。
今の私が大切にしたいのは、家族と接する時間、本を読む時間、ランニングをする時間、そして一人でお酒を飲みながら考える時間です。
こうして並べてみると、どれも、それほどお金がかかりません。
社会人になりたての頃に買っていたブランド品などと比べれば、ほとんどお金がかからないものばかりです。それなのに今の私にとっては、こうした時間の方が価値があります。
学生時代にはお金がなく、社会人になってモノを買うようになり、資産が増えた今になって欲しくなったものが、「自分の好きなことに使える時間」だったのです。
「時間を大切にする」とは、1分も無駄にしないことではない
「時間が大切」と言うと、タイパを高める、スキマ時間も勉強する、1分でも無駄にしない、といったイメージがあるかもしれませんが、私は少し違うと思っています。
一人でお酒を飲みながら、ぼんやり考える。ランニングをしながら頭を整理する。子どもと遊ぶ。本を読む。直接的にはお金を生み出さない時間もたくさんありますがそれでもいい。
時間を大切にするとは、1分も無駄にしないことではなく、自分が大切だと思うことに時間を使えることと今はそう考えています。
お金はまた稼げる。でも、今日の時間は買い戻せない
学生時代の私にとって、1万円はものすごく大きなお金でした。だから時間を使ってでも、お金を節約する価値がありました。
でも今は少し違います。
例えば、「3時間余計に働けば1万円もらえる」という選択肢と、「3時間早く帰って家族と過ごせる」という選択肢があったとします。
もちろん状況によって答えは変わります。ただ今の私は、「その1万円と3時間は、本当に交換する価値があるのか?」と考えるようになりました。
1万円は、また稼ぐことができます。投資によって増やすこともできます。
でも今日、家族と過ごせたはずの3時間は、後から10万円払っても100万円払っても買い戻せません。
だからこそ、お金を増やすことだけではなく、「何のためにお金を増やしているのか」も考えるようになりました。
資産5,000万円になって、お金の価値が下がったわけではない
ここまで書くと、「資産が増えたから節約しなくなった」という話にも聞こえるかもしれませんが、そうではありません。
私は今でもお金を大切にしています。不用品はメルカリで売りますし、無駄なものはできるだけ買いません。400円で売れるものだって売ります。
一方で、20万円のロボット掃除機にはお金を払う。
一見すると矛盾しているようですが、自分の中ではそのお金を使うことで、自分の人生にどれだけの価値が返ってくるのかという同じ基準で判断しています。
自分にとって価値のないものに1,000円使うのはもったいない。しかし、毎日の時間やストレスを減らしてくれるものなら、10万円、20万円でも払う価値がある場合があります。
つまり、資産が増えたことでお金の価値が下がったのではありません。
時間の価値を、以前より高く見積もるようになった。
それが一番近い表現だと思います。
学生時代は「お金」を守り、今は「時間」を守る
振り返ると、私のお金の使い方は大きく変わってきました。学生時代は、お金がなかった。だから、制約の中でどう最適化するかを考える癖がついたという意味では今振り返ると必要な経験であったと思います。
社会人になり、お金を稼げるようになると、今度は欲しかったモノにお金を使うようになりました。
そして投資を始め、資産形成を続け、資産が5,000万円を超えた現在。以前より大切にするようになったのは「時間」です。
お金を増やすことで、自分が大切だと思うことに、自分の時間を使えるようになる。
家族と過ごす。本を読む。走る。一人でお酒を飲みながら考える。
そんな何気ない時間を、自分で選べるようにする。
私にとっては、それこそがお金を増やす意味の一つなのだと思います。