ビジネスでも人生でも、多くの人は「競争に勝つこと」を目指します。
- 勉強で一番になる
- 出世競争に勝つ
- 市場シェアを奪う
しかし、実は**競争の本質は「競争しないこと」**なのかもしれません。
この考え方は、生物の世界でもビジネスの世界でも共通しています。
今回は
- 異種のゾウリムシを1つ水槽に入れた時に起こること
- ファーストペンギンの行動からの学び
- ショーボンドHDの戦略
この3つから「競争しない戦略」を考えてみます。
生物の世界でも「競争しない方」が生き残る
植物学者の 稲垣栄洋 の著書
弱者の戦略 に面白い実験があります。
それがゾウリムシの話です。
同じ場所で戦うと片方が滅びる
実験では
- ゾウリムシ
- ヒメゾウリムシ
この2種類を同じ水槽に入れます。
するとどうなるか。

引用:橘玲「幸福の資本論」
ゾウリムシが滅びてしまいます。
理由は単純で
- 同じ場所に住む
- 同じ餌を食べる
つまり**同じ生存領域**だからです。
結果として、競争に負けた種が消えてしまいます。
住み分けると共存できる
では次の実験。
- ゾウリムシ
- ミドリゾウリムシ
この2種類を同じ水槽に入れるとどうなるか。

引用:橘玲「幸福の資本論」
今度は両方とも生き残ります。
なぜか。
- ゾウリムシは水槽の上の方にいて、ミドリゾウリムシは下の方にいる。住む場所が違うこと
- ゾウリムシは大腸菌を餌に、ミドリゾウリムシは酵母菌を餌にしている。食べる餌が違うこと
つまり競争していないからです。
この自然界の例では、競争しないことが生き残る戦略
になっているのです。
ファーストペンギンの先行者利益
もう一つ例があります。
それが「ファーストペンギン」です。
ペンギンが海に飛び込むとき、最初に飛び込む個体には大きなリスクがあります。
海の中には
- シャチ
- アザラシ
などの天敵がいるかもしれないからです。
それでも最初に飛び込むペンギンには大きなメリットがあります。
それは
餌を独占できること。
まだ他のペンギンが海に入っていないため、魚がたくさんいる状態だからです。
しかし、後からどんどんペンギンが入ってくると
- 餌は減る
- 競争が増える
つまり
後発ほど条件が悪くなる
という構造です。
日本企業にもある「競争しない戦略」
ニッチ戦略を実際の企業で体現しているのが
ショーボンドホールディングスです。
この会社は少し変わった建設会社です。
普通の建設会社は
- ビルを建てる
- 橋を作る
- 道路を作る
など「新設工事」を行います。
しかしショーボンドHDは違います。

引用:ショーボンドHD会社説明会資料

引用:ショーボンドHD会社説明会資料
創業以来、
新しいものを造らない。
代わりに
- 橋
- トンネル
- 高速道路
などの
コンクリート構造物の補修・補強
だけに特化しています。
いわば
「造らない建設会社」
です。
ニッチ戦略が生んだ高収益
この戦略がうまく機能しています。
日本では高度経済成長期に作られた
- 橋
- トンネル
- 高速道路
が今、一斉に老朽化しています。

引用:ショーボンドHD会社説明会資料
その結果
ショーボンドHDは
- 高速道路メンテナンス受注増
- 11期連続の増収増益
- 純利益率10%以上
という非常に高い収益性を維持しています。

引用:ショーボンドHD会社説明会資料

引用:ショーボンドHD会社説明会資料

引用:ショーボンドHD会社説明会資料
さらに
自己資本比率は約80%。

引用:ショーボンドHD会社説明会資料
財務も非常に健全です。
派手さはありませんが
しかし競争が少ない市場で着実に利益を出す。
まさにニッチ戦略です。
競争の本質は「戦わないこと」
ゾウリムシの実験でも
ペンギンの行動でも
企業戦略でも
共通していることがあります。
それは真正面から戦うほど消耗する
ということです。
むしろ重要なのは
- 競争しない場所を見つける
- 早くポジションを取る
- 得意分野に集中する
という戦略です。
人生でも同じ
これは会社員のキャリアでも同じだと思っています。
多くの人は
- 同じ会社
- 同じスキル
- 同じ出世競争
の中で戦っています。
しかし本当に重要なのはどこで戦うかです。
競争の激しい場所で消耗するより
自分の強みが活きる場所を選ぶ。
それが最も合理的な戦略なのかもしれません。