資産形成

杉村太蔵『骨太』投資術の感想・要約|資産5,000万円の会社員が学んだ日本株投資の考え方

杉村太蔵さんの『骨太』投資術を読みました。

この本で特に印象に残ったのは、株価の値動きだけでなく、国の政策や日本社会の課題から投資先を考えるという視点です。

私は2021年から日本株を中心に投資を続け、金融資産5,000万円を突破しました。

普段は企業の業績・財務・配当などを重視していますが、この本を読んで、もう少し大きな視点から投資を考える重要性を感じました。

この記事では、次の3点を紹介します。

  • 『骨太』投資術から学んだ重要な考え方
  • 共感した部分と、少し違うと感じた部分
  • 実際に株式投資を続けている会社員としての感想

「日本株への長期投資に興味がある人」「個別銘柄の分析以外にも投資の視野を広げたい人」 におすすめしたい内容です。

1.投資は「我が子」を育てるように考える

本書で最初に印象に残ったのは、今すぐ使わないお金を、我が子を育てるような感覚で投資するという考え方です。

株式投資というと、短期間で株価が上昇する銘柄を探し、売買によって利益を得るイメージを持つ方もいるかもしれません。

しかし、私自身は短期的な値上がりよりも、10年後も社会から必要とされ、利益を生み出し続けられる企業かどうかを重視しています。

投資を始めた2021年当初は、保有株式の評価額や配当金も少なく、資産が増えている実感を得にくい時期がありました。それでも投資を続けてきたことで、現在は資産運用による増減が家計からの積立額を上回ることもあります。

こうした経験から、株式投資は短期的な結果を求めるものではなく、時間をかけて企業の成長に参加するものだと感じるようになりました。

この点で、杉村太蔵さんの投資に対する考え方には共感する部分が多くありました。

2.「骨太の方針」から日本経済を考える

本書で特に興味深かったのが、政府の「骨太の方針」を投資判断の参考にするという考え方です。

骨太の方針とは、政府が経済財政運営や改革の基本的な方向性を示すものです。

例えば、人口減少への対応、経済成長、生産性向上、デジタル化、経済安全保障など、国が中長期的に取り組もうとしている課題が示されています。

こうした政策を読むことで、今後どの分野に予算や制度的な支援が向かうのかを考える手がかりになります。

もちろん、国が重点分野に指定したからといって、関連企業の株価が必ず上昇するわけではありません。政策の実現には時間がかかり、企業間の競争もあります。

それでも、企業の決算書だけを見るのではなく、「これから社会が何を必要とするのか」という視点を持つことは、長期投資において重要だと感じました。

人口減少時代に必要な生産性向上

本書を読みながら、特に考えさせられたのが日本の人口減少と生産性の問題です。

少子高齢化が進む日本では、今後も労働力不足への対応が重要な課題になると考えられます。

労働人口が減少するなかで経済活動を維持・拡大するためには、働く人を増やす取り組みと同時に、一人当たりの生産性を高めることが必要です。

私はこれまで、会社でDX推進や現場業務の生産性向上に関わってきました。

その経験から感じるのは、生産性向上は、単にデジタル技術やAIを導入すれば実現できるものではないということです。

例えば、非効率な業務をそのままシステム化しても、根本的な問題は解決しません。

まずは業務を可視化し、ムダや手戻りをなくす。そのうえでデジタル技術を活用することが重要だと考えています。

人口減少によって働き手が減ることは、日本企業にとって大きな課題です。

しかし、見方を変えれば、限られた人員でより大きな付加価値を生み出せる企業には、成長の余地があるとも考えられます。

この考え方は、私の株式投資にもつながっています。

単に売上高が増えている企業よりも、業務改革によって利益率を改善し、継続的に利益やキャッシュフローを生み出せる企業を評価したい。

国の政策だけでなく、企業が実際にどれだけ生産性を改善できているか。

これも、日本株に長期投資するうえで重要な視点だと思います。

DX・AIによって変わる日本企業

日本経済については、長く「失われた30年」という言葉が使われてきました。

確かに、経済成長の停滞や人口減少など、解決すべき課題は少なくありません。

一方で、私は日本企業にはまだ改善の余地があるとも感じています。

例えば、デジタル化による業務効率化、企業統治の見直し、資本効率を意識した経営、価格転嫁や賃金上昇への対応などです。

特に、長年続いてきた非効率な業務や慣習を見直すことができれば、企業の競争力を高める余地はあると思います。

また、金利環境の変化は企業経営にも影響します。資金調達コストが上がれば、利益を生み出す力や財務健全性がこれまで以上に重要になる可能性があります。

もっとも、金利上昇が必ずしも企業の淘汰や経済成長につながるわけではありません。業種や企業の財務状況によって影響は異なります。

だからこそ、私は今後も企業の利益成長や財務内容を確認しながら、投資先を選んでいきたいと考えています。

地政学リスクと経済安全保障も投資の重要な視点

もう一つ、本書を通じて考えさせられたのが地政学リスクです。

ロシアによるウクライナ侵攻や台湾海峡をめぐる緊張など、国際情勢の不確実性は企業活動にも影響を与えます。

日本にとっても、防衛力の整備、エネルギーの安定供給、重要物資の確保、サプライチェーンの強靱化などは重要な課題です。

こうした課題に関連する企業には、中長期的な事業機会が生まれる可能性があります。

ただし、防衛関連や経済安全保障関連という理由だけで投資するのは危険です。

市場の期待が先行して株価が上昇している場合もあり、実際の業績が期待に追いつかない可能性もあります。

私は、社会的な必要性に加えて、受注や利益の成長、財務状況、株価水準を確認することが欠かせないと考えています。

3.杉村太蔵さんが注目する日本株

本書では、日本の将来を考えるうえで注目する企業として、さまざまな日本株が紹介されています。

10年で2倍を狙う企業

  • 三菱商事、三井物産、伊藤忠商事
  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ
  • 日本郵船、商船三井、川崎汽船
  • トヨタ自動車、NTT

総合商社、銀行、海運、自動車、通信など、日本の経済活動を支える企業が多い印象です。

10倍株候補と私自身の投資判断

  • NEC
  • 三菱重工業、IHI、川崎重工業
  • 日本M&Aセンターホールディングス、M&Aキャピタルパートナーズ
  • リクルートホールディングス
  • PKSHA Technology
  • 日本製鉄
  • 北海道電力
  • アストロスケール

こちらは、防衛、テクノロジー、M&A、素材、エネルギー、宇宙関連など、将来の成長性を意識した企業が並んでいます。

10倍株という言葉には夢がありますが、当然ながら実現が保証されているわけではありません。成長への期待が大きい銘柄ほど、株価の変動が大きくなる場合もあります。

杉村太蔵さんの投資術と私の投資方針の違い

本書の中で特に興味深かったのは、国策を追い風に、10年で株価が2倍、あるいは10倍になる企業を探すという考え方です。

日本の社会課題と企業の成長性を結びつける視点には、大いに共感しました。

一方で、私の投資目的とは少し違う部分もあります。

私が目指しているのは、株価の値上がりそのものではなく、配当金などの資産収入だけで生活できる経済的自由です。

現在は40歳までに資産1億円を目指していますが、1億円は最終目標ではなく、あくまで通過点です。

そのため、投資先を選ぶ際には、将来の成長性だけでなく、次のような指標を重視しています。

  • PER・PBRから見た株価の割安性
  • EPSの継続的な成長
  • 自己資本比率などの財務健全性
  • 配当利回りと配当性向
  • 長期的に増配できる企業かどうか

もちろん、株価が10倍になる企業に投資できれば、それは素晴らしいことです。

ただし、社会課題を解決する企業だからといって、必ず株価が上昇するわけではありません。

成長期待がすでに株価に織り込まれている可能性もありますし、国の政策が変わるリスクもあります。

「成長する企業」と「良い投資先」は、必ずしも同じではない。

ここは冷静に考える必要があると思います。

本書を読んで、私自身の投資方針を大きく変えようとは思いませんでしたが、企業の財務分析というミクロの視点に加えて、国の政策や社会課題というマクロの視点を持つことには、大きな価値があると感じました。

これからも高配当株投資を軸にしながら、企業の長期的な成長性を見極めるための視野を広げていきたいと思います。

本書を参考にして、その後私が投資したのは「日本製鉄」

本書を読んで考えた結果、私自身は日本製鉄に投資しました。

日本製鉄は、社会インフラや製造業を支える鉄鋼メーカーです。

鉄鋼業は景気や原材料価格、世界的な需給の影響を受けやすい業種ですが、一方で鉄鋼製品はさまざまな産業に必要とされ続けています。

私が投資する際に重視しているのは、単に成長テーマに関連しているかどうかではなく、企業の収益力や財務状況、配当、そして購入時の株価水準です。

今回の投資についても、本に紹介されていたからという理由だけではなく、自分なりに企業の将来性を考えたうえで判断しました。

なお、日本製鉄への投資が今後成功するかどうかは分かりません。投資後も業績や事業環境の変化を確認していくつもりです。

4.まとめ|投資は未来への参加

杉村太蔵さんの『骨太』投資術を読んで、最も印象に残ったのは、投資を通じて日本の未来を考えるという視点でした。

人口減少、少子高齢化、生産性向上、DX、防衛など、日本が抱える課題は決して少なくありません。

しかし、社会課題があるということは、それを解決する企業にビジネスチャンスがあるということでもあります。

一方、私は配当金などの資産収入による経済的自由を目指しています。

そのため、国策や成長分野に注目するだけでなく、企業の収益力、財務健全性、配当の持続可能性を重視する方針は変わりません。

国の政策から成長分野を探し、企業の財務分析で投資先を絞り込む。

この2つの視点を組み合わせることが、今後の投資判断に役立つと感じました。

本書は、日本株への長期投資に興味がある方や、銘柄選びの視野を広げたい方におすすめです。

株価だけを追うのではなく、日本の将来を考えながら投資を楽しみたい方は、ぜひ一度読んでみてください。

『骨太』投資術はどんな人におすすめか

私が本書をおすすめしたいのは、個別銘柄の情報だけでなく、もう少し大きな視点から投資を考えてみたい方です。

例えば、長期的な日本株投資に興味がある方、国の政策と企業の成長の関係を知りたい方、社会課題から投資テーマを探したい方には、考えるきっかけになると思います。

一方で、短期売買の具体的な手法や、PER・PBRなどを使った詳細な企業分析を学びたい方には、別の書籍も組み合わせた方がよいでしょう。

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