「失われた30年」と言われてきた日本。
株価は長く低迷し、投資は報われないという空気が続いてきました。
しかし今、日経平均株価は6万円に近づく水準まで上昇しています。


長い停滞を知る世代にとっては、この光景はどこか現実味がありません。
そして相場が上がると、人は自然と強気になります。
なぜでしょうか。
上昇相場は“自分の実力”に見えてしまう
相場が上がると、多くの銘柄が上昇します。
本当は地合いの影響が大きくても、人はこう思ってしまいます。
自分の判断が正しかった。
含み益は自信を生みます。
自信はポジションを拡大させます。
ポジションの拡大はリスクを増幅させます。
これが上昇相場後半で起きやすい流れです。
歴史が示す「強気」の連鎖
🌷 17世紀オランダ
チューリップ・バブル
球根が家一軒分の値段で取引されました。
価値ではなく、「もっと高く買ってくれる誰か」への期待が価格を押し上げました。
そして崩壊しました。
🇯🇵 1980年代日本
バブル崩壊
1989年当時、日経平均のPERは約50〜60倍でした。
企業が1年で稼ぐ利益の50年分以上の価格がついていた計算です。
期待が利益を大きく上回っていました。
やがて波は引きました。
では、今はバブルなのでしょうか?
― PERで冷静に確認します ―
過去平均PER(2010年代以降)は約14〜16倍です。
現在は約18〜20倍前後です。
バブル期は50倍超でした。
並べるとこうなります。
- 過去平均:15倍
- 現在:19倍
- バブル期:50倍
現在は確かに平均より高い水準です。
しかし、1989年のような狂気的水準とは大きく異なります。
つまり、
現在は強気相場ではありますが、歴史的バブルとは言えない水準です。
それでも無視できない“警戒サイン”
ここで注目すべきニュースがあります。
**バークシャー・ハサウェイ**の現金保有額が
過去最高の約3,817億ドルに達しているという点です。
率いるのは、
ウォーレン・バフェット。
なぜ、世界最高峰の投資家がこれほどの現金を持つのでしょうか。
考えられる理由は大きく三つあります。
① 割安な投資先が少ない
市場全体が上昇すると、
バリュエーションは高止まりします。
「明らかに安い」と言える銘柄が減れば、
無理に買わず現金を積み上げるのは合理的です。
② 将来の下落に備える
バフェット氏はこう言っています。
「潮が引いたときに、誰が裸で泳いでいたかがわかる。」
上昇相場では誰もが賢く見えます。
しかし調整局面では、準備していた者とそうでない者の差が出ます。
現金は“守り”であり、同時に“攻めの準備”でもあります。
③ 不確実性の増大
金利、地政学リスク、景気循環。
不確実性が高まる局面では、
柔軟性を持つことが重要になります。
現金は最大のオプションです。
今の市場はどんな状態なのか
PERを見る限り、
現在は歴史的なバブル水準ではありません。
しかし、
- 相場は高値圏
- 強気ムードが広がっている
- 成功体験が積み上がっている
こうした状況は、「潮が満ち初めている」状態とも言えます。
だからこそ問うべきは、
自分は裸で泳いでいないか。
ということです。
結論
現在の日本株は、
- 過去平均よりやや高い水準
- しかしバブル期ほどの過熱ではない
という位置にあります。
悲観する必要はありません。
しかし、無防備に強気になる局面でもありません。
世界最高峰の投資家が現金を積み上げているという事実は、
市場に対する“温度差”を示しています。
上昇相場で儲かるのは難しくありません。
しかし、下落相場で生き残ることは簡単ではありません。
失われた30年の先で、
今こそ私たちの冷静さが試されています。
波が引いたとき、
余裕を持って立っていられるでしょうか。
それが、これからの相場で問われる本質だと思います。