PER(株価収益率)は、
株式投資で最も有名で、そして最も誤解されやすい指標だ。
まずは、ここから整理しよう。
すべての出発点は「1株あたりの利益(EPS)」
PERの話をする前に、
避けて通れないのがEPS(1株あたり利益)。

(引用:日本経済新聞)
EPSとは、
会社が稼いだ利益を、1株あたりに割り算したもの
つまり、
- EPSが高い=1株がたくさん稼ぐ
- EPSが低い=1株の稼ぐ力が弱い
ということ。
EPSは、
会社の実力を1株サイズにした数字だ。
PERは「EPSにいくら払っているか」
ここでPERの登場。

(引用:日本経済新聞)
PER = 株価 ÷ 1株純利益(EPS)
PERを超シンプルに言うと、
その会社の利益に、何年分の値段を払っているか
- PER10倍 → 利益10年分
- PER20倍 → 利益20年分
PERが高いほど、
将来への期待が織り込まれている。
PERは「高い・安い」ではなく「期待の大きさ」
ここが重要。
PERが高いから悪い、
PERが低いから良い。
…そんな単純な話ではない。
PERは、
その会社に、どれだけの未来を期待しているか
を表す数字だ。
この違いが、
トリドールとNTTを比べるとよく分かる。
具体例①|トリドール(丸亀製麺)のPER(過去8年イメージ)
トリドールは、
成長ストーリーの代表格だ。
至近3年ほどではPERは50倍で推移しているが株価は徐々に上昇している。

(出所:バフェットコード)
- 国内外での店舗拡大
- ブランド力
- 海外展開への期待
その結果、過去8年を見ても、
PERは高めの水準
で推移してきた。
これは、
- EPSが伸びてきた
- それ以上に「これからも伸びる」と期待されてきた
ということ。
つまり市場は、
「今の利益だけじゃなく、未来も買っている」
状態だった。
具体例②|NTTのPER(過去10年イメージ)
一方でNTT。

(出所:バフェットコード)
- 安定収益
- 巨大インフラ
- 成熟産業
安定しているが急成長ではない。
そのためPERは、NTTのEPSは、8〜15の間のレンジにとどまっており
低め〜平均的な水準
で長く推移してきた。
市場の評価はこうだ。
「利益は安定している
でも爆発的成長は期待していない」
だからPERは上がりにくい。
トリドールとNTT、PERで見える違い
この2社をPERで並べると、見えてくる。
| 企業 | PERの意味 |
|---|---|
| トリドール | 未来への成長期待を強く織り込む |
| NTT | 今の安定利益を堅実に評価 |
どちらが良い、悪いではない。
- 成長を取りにいくならトリドール
- 安定と配当を取りにいくならNTT
PERは投資スタイルの違いを映す鏡だ。
PERが教えてくれる、本当の問い
PERを見るときに大事なのは、これ。
「このPERに見合う未来は、本当に来るか?」
- 高PER → 期待が外れたら下落が大きい
- 低PER → 期待されていない分、失望も小さい
PERは、
リスクの大きさも同時に教えてくれる。
まとめ|PERは「株価の理由」を知るための指標
PERは、
安い株を探すための道具ではない。
なぜ、この株価なのか?
を理解するための指標だ。
- トリドールのPERが高いのは、未来を買っているから
- NTTのPERが低めなのは、安定を買っているから
PERを理解すると、
株価の見え方が一段深くなる。
数字の裏にある
市場の期待を読み解く。
それが、PERを使いこなすということだ。