株式投資をしていると、必ず目にする書類がある。
それが P/L(Profit and Loss Statement:損益計算書) だ。
一言で言えば、
「その1年間で、どれだけ稼いで、どれだけ残ったか」
を示す成績表である。
テストで言えば、
- 売上高=配点
- 各種費用=ケアレスミスや減点
- 当期純利益=最終得点
そんなイメージだ。
P/Lの基本構造(まずはここだけ)
以下の図は2025年3月のニトリHDのP/L
売上高から左に階段状に降りていっていることが分かる。

P/Lの要点は、ざっくり言うと次の流れ。
- 売上高:どれだけモノ・サービスを売ったか
- 営業利益:本業でどれだけ儲かったか
- 経常利益:財務も含めた実力
- 当期純利益:最終的に会社に残ったお金
投資家が最も注目するのは、最終的に残った利益から配当が分配されるため
👉 当期純利益
を重要視する
では、2つの会社のP/L実例で見てみよう。
① シチズン(平成24年度/2012年3月期)
時計メーカーのシチズン。
平成24年度のP/Lは、**将来を見据え「苦しい判断を行った年」**だった。

- 売上高:2,700億円
- 営業利益:115億円
- 経常利益:138億円
- 当期純利益:△9億円(赤字)
売上はそれなりに立っている。
にもかかわらず、最後は赤字。
ここがP/Lの面白いところ。
「売れている=利益が出て儲かっている」とは限らない。
特別損失などの影響によって売上があっても赤字になることがある。
図を作成してみて、疑問が出たら具体的に表の項目を見てみる。
この年に何があったのか、この年に事業再整理損18,647百万円、特別損失5,060百万円が計上されている。
つまり、本業でそれなりに稼げてはいるが、このままでは長期的な成長が厳しいと判断して
在庫や不採算事業など膿をこのタイミングで出して、構造を見直そうとしているものと考えられる。
P/Lを見て「売上はあるのに、なぜ赤字なのか?」と考えその背景を考察することが、企業分析の第一歩になる。
② 任天堂(平成24年度/2012年3月期)
一方、同じ平成24年度の任天堂。

- 売上高:約6,354億円
- 営業利益:△364億円
- 経常利益:104億円
- 当期純利益:70億円
当時の任天堂は
- Wiiの失速
- 次世代機(Switch以前)の端境期
ヒット作不在で苦しい時期であり、前年度の平成23年度は432億円の赤字。
平成24年度P/Lは、ヒット作が出たから黒字化したのか?
違う。
結論を言うと、円安による為替の影響(為替差益395億円)で救われた一時的なもの。
事実、会社の本業にあたる営業利益は前年度と同様の赤字のまま。
この例からは、数値だけをみて一喜一憂するのではなく、それがなぜかというところまで踏み込む大切さを学ぶことができる。
P/Lは「過去1年間の活動の実績」映しだした成績表
良い年も、悪い年も、感情なしで正直に数字が並ぶ。
長期投資家としてのP/Lとの付き合い方
1年だけのP/Lで一喜一憂する必要はない。
大切なのは、
- 赤字の理由は一時的か?
- ビジネスモデルは壊れていないか?
- 回復の芽はあるか?
この時のシチズンや任天堂のP/Lを見て「この会社は終わった」と判断した人も多いと思うが、その後両社の株価は上昇した。