JT(日本たばこ産業)は高配当投資といえば、必ず名前が挙がる銘柄だ。
配当利回りは高く、知名度も抜群。
今回は、そんなJTを会社業績と財務状況の全体を俯瞰してから、6つの指標で複合的に見てみた。
まず、2008年3月〜2024年12月までの会社業績と財務状況の全体を見てみる
会社業績は、赤字の年はなく安定して利益を出していることが分かる。
表1:会社業績

財務状況も大きな変動なく安定している。
表2:財務状況

① PER:15倍以下 → 概ねクリア
表3:PER

出典:IR BANK
PERは長期的に見ると15倍以下で推移することが多いが
2024年は急に値が上昇。
これはなぜか。
おさらいとして、PER=1株あたりの株価/EPS(1株あたりの純利益)
EPSは、2023年271円→2024年100円
一方で株価は、2020年以降上昇傾向。
図1:株価推移

出典:IRBANK
すなわち、PERの分子である、株価は上がって、分母のEPSは下がっているため、2024年のPERが13から40まで大きく上がったもの。
株価が低かった2019年頃までJTは市場から以下の要因から株価は安価な状態で維持してきた。
- ロシアから撤退
- 成長性が限定的
- たばこ事業の将来不安
しかし、NISA条件見直しや最近の日本株が好調な状況の影響から、JTも株価が上昇している。
② PBR:1倍以下→近年は1.5〜2を推移
表4:PBR

出典:IRBANK
PBRは1倍を目安にし、1未満は割安という見方を一般的。
JTは1.5〜2倍程度
- ブランド力
- 安定したキャッシュフロー
を考えると妥当
PER×PBRの観点では、2024年はPERが急上昇しているため、単年ではPER40×PBR1.9=約80と「割高」という評価になるが、そこを除くと20程度と妥当な水準になる。
③ EPS:右肩上がりか? → 横ばい〜やや減少傾向
- 海外たばこ事業の伸び
- 為替の影響
はあるものの、EPSは右肩上がりとは言えない。
安定はしているが、「成長している」とは評価できない。
④ 自己資本比率(株主資本比率):40%以上 → クリア
JTは財務体質が強い。
- 自己資本比率は高水準
- 有利子負債も過度ではない
この点は、高配当投資家にとって大きな安心材料。
不況耐性・減配耐性はかなり高いと評価できる。
⑤ 配当利回り:3%以上 → 文句なし
表5:配当推移

JTは配当利回りが約9〜10%と非常に高い。
⑥ 配当性向:30〜60% → やや高め
JTは、配当性向がかなり高め。
2024年は192%と事業活動で得た利益より配当を多く払っている状況。
それ以外の年でも70〜80%とかなり高い。
- 財務状況が強いため維持できているが
- ほとんどの利益を株主に還元している
つまり、
「将来の成長にお金を回す」というより
「成熟企業として割り切っている」
総合評価:JTは、株価上昇ではなくインカム重視
6指標で見たJTの評価をまとめると、
- 財務:強い
- 配当:高い
- 割安度:足元は割高
- 成長性:控えめ
JTは、高配当投資になり得るが、成長を期待して買う銘柄ではない
- 配当を目的に保有するなら合理的
- 株価の値上がりを目的に保有するなら非合理的
自分の投資目的と合っているかを、数値で確認することが重要
まとめ
- JTは6指標の多くを満たす「優良高配当銘柄」
- ただし、EPS成長は限定的
- 「高配当+安定」を取りに行くなら有力
- 「成長」まで求めるなら過度な期待は禁物
指標を複合的に見ることで、銘柄の役割がはっきりする。