株価を見るとき、多くの人はこう思う。
「この株、高いのか?安いのか?」
その問いに、
財務の視点から答えてくれる指標がPBR。
まずは基本|1株あたりの純資産とは?
純資産とは、

(出所:経理のお仕事.com)
会社の資産 − 負債
つまり、
- 借金を全部返したあと
- 会社にどれだけ“正味”で残るか
を表す数字。
これを1株あたりにしたものが
1株あたり純資産(BPS)。
【参考】純資産を分解すると、下図のようなイメージとなる

(出所:経理のお仕事.com)
PBRの計算式
PBR= 株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)
図1:PBR(PBS)の計算式イメージ図

(出所:野村證券HP)
超シンプルに言うと、
会社の実体価値に対して、株価は何倍か
- PBR1倍:理論上、解体価値と同じ
- PBR1倍以下:資産価値より安い
- PBR数倍:資産以上の価値を市場が認めている
PBRは、
財務の安定性と割安・割高感を測るモノサシだ。
PBRが示すのは「過去と現在」
ここが重要。
PBRは、
これまで積み上げてきた結果
を見る指標。
つまり、
- 工場
- 技術
- 現金
- ブランド
- 事業基盤
こうした“会社の土台”への評価が、
PBRに表れる。
具体例①|キーエンスのPBR
キーエンスは、日本株を代表する超優良企業。
- 高収益
- 高付加価値
- 圧倒的な営業利益率

(出所:IRBANK)
図1:キーエンスの2017年10月31日〜2026年1月9日の株価及びPBR推移

(出所:IRBANK)
この過去を振り返ると、
常に非常に高いPBR水準
で推移してきた。
これは何を意味するか。
- 「稼ぐ力」が異常に強いことから
- 将来も高収益を維持すると信じられている
市場はキーエンスを、
「高付加価値で収益を得るビジネスモデル」で評価している
具体例②|日本製鉄のPBR
一方、日本製鉄。
- 巨大な設備
- 莫大な固定資産
- 景気敏感な事業構造

(出所:IRBANK)
図2:日本製鉄の2017年10月31日〜2026年1月9日の株価及びPBR推移

(出所:IRBANK)
過去を見ると、
PBRは1倍前後〜1倍以下
で推移する時期が多かった。
その理由は
- 純資産は大きい
- しかし利益は景気に左右されやすい
- 将来の安定性に不安が残る
市場は、
「資産はあるが、将来の収益力は慎重に評価」
している。
キーエンスと日本製鉄、PBRが語る違い
| 企業 | PBRが意味するもの |
|---|---|
| キーエンス | 資産以上の価値を生む稼ぐ期待感 |
| 日本製鉄 | 資産は大きいが、将来は慎重評価 |
注意点|PBRが低くても安心はできない
ここで、超重要なポイント。
将来の業績悪化で純資産が減れば、同じ株価でも割安ではなくなる
例えば、
- 赤字が続く
- 資産の減損
- 借金が増える
こうなると、
- BPSが下がる
- PBRは自然に上がる
つまり、
「安いと思っていた株が、実は安くなかった」
という事態が起きる。
PBRのみで判断するのではなく、EPSやPERなど様々な指標を確認した上で最終的な投資判断をするべき。
PBRは「防御力」を測る指標
PBRが教えてくれるのは、
- 倒れにくさ
- 余力
- 最悪時の下支え
成長性は見えないが、長期投資では重要な指標。
まとめ|PBRは会社の“足腰”を見る数字
PBRは、
- 成長を測る指標ではない
- ワクワクする指標でもない
でも、
会社がどれだけ踏ん張れるか
を教えてくれる。
キーエンスのように
「資産を超えて稼ぐ会社」もあれば、
日本製鉄のように
「資産はあるが将来は慎重評価」の会社もある。
PBRを見れば、株価の裏にある評価の理由が見えてくる。
長期投資では、足腰の強さを軽視しない。